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シビマグロとは?語源から味・産地まで、現場を知る人間が解説します

「シビマグロって何ですか?」

マグロ解体ショーの現場でよく出る質問のひとつです。お客さんだけじゃなくて、イベントの幹事さんや飲食店のスタッフさんから聞かれることも珍しくありません。それだけ、日常会話ではあまり使われない言葉です。

結論から言うと、シビマグロはクロマグロ(本マグロ)の別名。でも「別名です」で終わらせると、この魚の本当の面白さが伝わらない気がして。

語源・産地・部位ごとの味の違い、そして解体ショーの現場で実際に見えてくることまで、なるべくフラットに書いていきます。


監修者プロフィール

五十嵐健吾

フレンチ・イタリアンの分野で10年以上のキャリアを積んだのち、和食の世界へ転向。西洋料理で培った技術と美意識を土台に、鮨職人の道へ進む。麻布十番の名店「みつい」の三井氏に師事し、素材の扱い・仕込み・握りの一つひとつを磨く。現在は、かきだ鮨グループにてメニュー開発と顧客満足の責任者を務める。


シビマグロとは?実はあの高級マグロの別名でした

シビマグロ、正式な和名は「クロマグロ」です。英語だとBluefin Tuna(ブルーフィン・ツナ)。スシやさしみ好きなら、「本マグロ」という呼び方でも聞いたことがあると思います。

全部同じ魚の話です。

ではなぜ「シビ」と呼ばれるのか。これが少し面白いんです。

なぜ「シビ」と呼ばれるのか ─ 語源と方言の話

クロマグロ

シビという呼び名は、主に西日本や漁師町を中心に使われてきた方言・古称です。語源については諸説あって、「死眉(しびまなこ)」──つまり死んだような目をしているから、という説が有力とされています。

確かに、クロマグロの目はぼんやりしていて、なんとも表情がありません。100キロ超の個体が並んでいると、その眼の静けさがかえって迫力を持つんですが、初めて見る人はちょっとびっくりするかもしれません。

方言としての「シビ」は今でも九州や中国地方の漁港周辺では現役で使われていて、市場の仲買人と話していると普通に出てきます。東京の豊洲では「本マグロ」「クロ」と呼ばれることが多い印象です。

シビマグロ=本マグロ?クロマグロ?整理すると

混乱しがちなので一度整理します。

呼び名意味
シビマグロクロマグロの方言・古称(主に西日本)
クロマグロ正式な和名
本マグロ業界・飲食店でよく使われる通称
Bluefin Tuna英語名

全部同じ魚です。市場でも飲食店でも、文脈によって使い分けられているだけです。混乱するのは当然で、業界の人間でも会話のなかでうっかり混在させることはあります。


シビマグロの産地・旬・価格 ─ 実際のところ

どこで獲れるのか

太平洋

クロマグロは大西洋と太平洋に生息しています。日本に流通しているのはほぼ太平洋産。天然ものの主な産地は、青森・大間、北海道、長崎、和歌山あたりです。

ただ近年は養殖技術が上がっていて、長崎や鹿児島、高知などで育てられた養殖クロマグロも市場に出回っています。「天然イコール上」とは必ずしも言えなくて、養殖でも脂の乗り方が安定していて評価が高いものはたくさんあります。

有名なのはやはり大間のマグロです。津軽海峡で育ち、餌となるイカを食べながら肥えていく個体は脂のりが特別で、競り値が数百万円をつけることもあります。ニュースで毎年出てきますよね、正月の初セリ。

旬はいつ?脂の乗り方が変わる季節の話

脂ののり

クロマグロの旬は産地によって少しずれます。

大間などの北方産は秋から冬、10〜1月ごろが脂の最盛期です。南方産は春先に旬を迎えることもあって、一概に「冬が旬」とは言い切れません。

脂の乗り具合は水温と餌の影響が大きくて、寒い海で育ったものほどエネルギーを蓄えるためにしっかり脂がつく傾向があります。同じクロマグロでも、夏場のものと冬場のものでは味わいがかなり変わります。

なぜこんなに高いのか

マグロはなぜ高い

シビマグロが高価な理由は主に3つあります。

ひとつは漁獲量の制限。資源保護の観点からTAC(漁獲可能量)が設定されていて、乱獲ができない状況が続いています。もうひとつは成長スピードの遅さ。クロマグロは大きくなるまでに数年かかります。最後に輸送コストと鮮度管理の難しさ。生のまま長距離輸送するにはそれなりの設備が必要です。

養殖が増えても、高品質なものはやはり相応の値段がついています。


部位で全然違います。大トロ・中トロ・赤身それぞれの話

クロマグロは一本の中に、全く違う表情を持つ部位が共存しています。これがまた面白い。

大トロ ─ 脂の塊、という表現は正確ではありません

大トロ

よく「大トロは脂の塊」と言われますが、これは少し語弊があります。上質な大トロは脂と赤身が細かく混じり合っていて、脂だけが突出しているのではなく、旨みのバランスが取れています。

部位的には腹の一番前、カマに近いあたりです。一本のうちから取れる量が少ないので希少性が高く、当然値段も跳ね上がります。口の中でとろけるような食感は大トロ特有のものです。

中トロ ─ 実は一番バランスがいいと言われます

中トロ

個人的には中トロが好きというプロも多いです。脂の旨みと赤身の風味がちょうどいい比率で共存していて、飽きがこない。大トロのリッチすぎる脂が苦手な人には特におすすめです。

腹の中腹から背の一部にかけて取れます。部位によって脂の乗り方が異なるので、同じ「中トロ」でも微妙に表情が違います。

赤身 ─ 本来の「マグロらしさ」はここにあります

マグロ赤身

赤身は背側から取れる部位で、クロマグロ本来の旨みが最もストレートに出る部分です。あっさりしているように見えて、噛むほどに深みが出てきます。

海外でもSushiの認知が広がるにつれて、赤身の旨みを評価するシェフや食通が増えています。トロが注目されがちなのはわかるんですが、赤身を食べずにマグロを語るのは少しもったいないとも思っています。


マグロ解体ショーで見るシビマグロ ─ 現場の話

一本丸々の迫力はなぜ生まれるのか

マグロの迫力

マグロ解体ショーで使われるのは、多くの場合クロマグロ(本マグロ)か、それに近い大型のマグロです。30〜50キロ、大きいものだと100キロ超の個体が一本丸々登場します。

写真で見るのと、目の前で見るのは全然違います。

大型の個体が解体台に置かれると、その重さと大きさに場の空気が変わります。長い柳刃包丁を使って大トロのブロックが切り出されると、断面の美しさに自然と歓声が上がります。観光地や大型イベントで人気があるのは、あれがパフォーマンスと食の体験を同時に提供しているからだと思っています。

解体ショーでしか味わえない体験があります

解体ショー

普通の飲食店では、マグロはすでにさく取りされた状態で届きます。つまり、ほとんどの人は「マグロがどこから来たのか」を体で知りません。

解体ショーはその過程をまるっと見せます。切り出された大トロがそのまま握りになって口に入る体験は、鮮度と感動という意味で別格です。飲食系のイベントや企業パーティー、結婚式の二次会などで取り入れられることが多いのも、「記憶に残る体験」として機能するからじゃないかと思っています。

全国出張でマグロ解体ショーを提供している私たちも、現場でよく聞くのは「生まれて初めてマグロをちゃんと見た」という感想です。大げさじゃなく、それくらいインパクトがあります。


よくある質問

Q. シビマグロとミナミマグロ(インドマグロ)は違いますか?

違います。ミナミマグロは別種で、主に南半球で漁獲されます。日本ではインドマグロとも呼ばれています。クロマグロ(シビマグロ)より漁獲量が少なく希少ですが、脂のりはクロマグロに近い評価を受けることが多いです。

Q. スーパーで売っているマグロはシビマグロですか?

キハダマグロ

多くの場合、スーパーで手頃な価格で売られているのはキハダマグロかメバチマグロです。クロマグロ(シビマグロ)は価格が高いため、回転寿司でも一部の高級チェーンや期間限定でしか使われていないことが多いです。

Q. 解体ショーはどんなイベントで依頼できますか?

結婚式などにも

企業パーティー、結婚披露宴、周年記念パーティー、スポーツ大会の打ち上げ、地域のお祭り・フードイベントなど、幅広いシーンで対応しています。屋外・屋内問わず全国出張可能です。規模や会場によって内容が変わりますので、まずはご相談ください。


まとめ

シビマグロとは、クロマグロ(本マグロ)の別名です。主に西日本や漁港周辺の方言・古称として使われてきた言葉で、語源は「死んだような目」にあると言われています。

産地は青森・大間や北海道が有名で、旬は秋から冬にかけてです。大トロ・中トロ・赤身と部位によって全く異なる味わいを持つ、奥の深い魚です。

マグロ解体ショーの現場では、このシビマグロが一本丸々登場することもあります。切り出される瞬間の迫力と、その場で振る舞われる鮮度の感動は、なかなか他では体験できないものです。イベントや宴会の演出として取り入れる企業・飲食店が増えているのも、「その場でしか生まれない空気」があるからだと思っています。